会長の ”東北震災地を訪ねて(後編)” 原発を行く 9
原発の悲劇として忘れてはいけないのが風評被害である。テレビなどで、原発汚染水が海に流れたとか、放射能度の高い土を土嚢に集めているという情報が流れると心配になる。他のもので代用できるなら、わざわざ福島産を買う必要がなくなってしまう。もし、岩手と福島の米があったとする。もちろん両者とも安全基準を満たしているが、
“できれば岩手の米にしたい”
これが偽りのない気持ちである。
食べものより、さらに苦悩したのが「人の風評」である。地震一か月後の読売新聞によれば、
“「福島県から来たことを隠しますか」。福島県南相馬市の男子児童は千葉県内の小学校への転入手続きで、教師からこう聞かれた。母親は意味がよく分からずに「隠さなくていい」と答えた。男児の席は教卓の前で左右は空席になっていた。”
(写真は、ネット風評被害より)
“南相馬市から群馬県へ避難した小学生の女子児童は、「福島県から来た」とクラスの子供から避けられたり、陰口を言われたりして不登校になった。”
“福島ナンバーの車に乗った社員が首都圏のガソリンスタンドなどで利用を拒否され、埼玉県内ナンバーを使うよう指示した。”
あれから3年近くが経ち、少しずつ改善されている。それは“忘れること”が要因だが、震災の悲劇・原発の悲劇も同時に忘れてしまうという痛し痒しである。
続く
(プラス1 福島の土産)
今回の訪問を通して、Oさんに推薦してもらい、実際に私が食したもの・プレゼントしたものを紹介する。
ジュース・・・伊達の蜜桃
皇室にも献上されるという“伊達の蜜桃”を丸ごと絞ったジュースで、桃と同じ風味と、食べた時に広がる“ほんのりまろやかな”味が楽しめる。伊達市で収穫される「あかつき」という品種である。風評被害で苦しんでいる。
⇒コクがあり濃厚で美味かった。家族からリピートされたくらいである。
酒 泉川
会津坂下町の廣木酒造のお酒で、入手困難が続く「飛露喜(ひろき)」の地元向けバージョンで、地元でしか購入できない。
会津坂下町は、昨年の大河ドラマ「八重の桜」の主人公、新島八重の武術のライバルであった“娘子隊”隊長:中野竹子(黒川メイサ)ゆかりの地である。
⇒これは懇親会の賞品として出したが、もらった人から「これが一番欲しかった」と言われたものである。
酒 親父の小言(オヤジのコゴト)
福島原発から約8kにあった鈴木酒造のお酒で、日本で最も海に近い蔵元と言われていたが、津波で流され原発事故で再建もできず、避難元の山形県で酒造りを再開した。
昨年 テレビ東京「ガイアの夜明け」で紹介されるなど、福島で注目の地酒である。
⇒これも懇親会の賞品として出したが、もらった人から「飲まずに、当分の間 飾っておく」というコメントがあった。
バラ にこにこバラ園
福島県須賀川市のバラ園である。須賀川といえば、内陸部に位置し原発の避難地域ではないが、“福島”という風評被害に見舞われている。生産者直送で購入できるため、新鮮で長持ちする。
⇒餞別として贈呈したが、もらった人から「本当に福島直送ですか。凄い!」
とお褒めの言葉を頂戴した。
この他にも、美味いもの珍しいものが沢山あるが、自分が携わったものを紹介した。