会長の ”東北震災地を訪ねて(後編)”   原発を行く 10

迷い道 1
 
写真は、東北自動車道の休憩所で見つけた福島県観光MAP。中央右“赤丸×”が第1原発付近である。
 因みに、福島は北海道を除くと岩手の次に面積が大きい。中央には「八重の桜」で有名になった鶴ヶ崎城を始め、福島市郡山市があり、内陸には会津磐梯山雄大にそびえている。これだけ自然があるのだから、山の幸・海の幸は豊富だが、風評被害“福島”というレッテルのお蔭で、県全体が打撃を受けてしまった。悲しいことである。


 昨日は、いわき市から北上し限界地点まで行くルートを無事に終了することができたが、今日は、逆に宮城県側から南下し限界地点を目指すことにした。いわき市内のホテルに宿泊したので、まずは侵入禁止区域を避けるように大回りをして宮城側まで行き(原発を中心とした円周を走行する)、そこから南下するというコースで、11時30分メドには終わり、昼から宮城県を見学するというハードスケジュールである。

一路 目指すはJR小高駅。ここは、昨日見学したJR富岡駅同様、震災当時の状況が、そのまま残っているらしい。通常なら直線にして50キロ程度なので、1時間半もあれば到着するのだが、Oさんの計画では3時間半と書いてあった。ルートは、いわき市から磐越自動車道を内陸部に向かって走り、東北自動車道を経由して、福島市あたりから国道175号線を海に向かって走るというものだった。円周ではなく、四角形の3辺を走るようなもの。
 “遠いなぁ。。。まっ、いっか。”

 
 
 せっかく来たのだからと覚悟を決め、朝7時にホテルを出発した。とりえず、ナビでJR小高駅を入れると2時間半で到着と出た。

“やった! 1時間も早く到着するんだ。さすがは最新ナビだな。”
朝早くから頑張る人には、神様も応援するんだ。。。と御機嫌のスタートとなった。

しかし、これが予想もしない幕開けだった。

                                       続く


プラス1 原発事故について 2 〜朝日新聞より〜

原発の深部には、「原子炉圧力容器」という鋼鉄の釜がある。その中には核分裂反応によって高温になった核燃料棒がある。核燃料の核分裂反応は、制御棒を挿入することでストップした。(前回の“止める”) しかし、燃料棒は高温のままであり、これを冷やす必要がある。

 そもそも原発は、他の発電所と大きな違いがある。それは、火力発電所のように火を止めれば冷えると訳ではない。ということ。
 「原発はコンパクトで経済的」
 「ウラン1グラムは、石油2千キロ」

などとPRする。一見、巨大に見える原発だが、原発は発電量の割に設備は小さい。中でも、心臓部である圧力容器はコンパクトである。これは逆に、「出力密度」が大きいということ。つまり、冷えにくいのだ。
 この原発「冷えにくさ」が、その後に続くトラブルの下地となった。