(長坂) 次男の就活 (8)

第1章 イマドキの大学生 その7

 こうして希望のアパートに入居が決まり、大学も無事合格しトントン拍子の生活が始まったかに見えたが、人生は思うようにはいかない。1年生も終わりに近づいたある日、次男から電話があった。


(次男) 父さん、アパート変わりたいんだ。なるべく学校に近いところに。。。
(私)  えっ、だってお前 気に入ってるじゃないのか。。
(次男) そうだけど。。学校まで遠くて授業に行けてないんだ。このままだと単位が取れなくて。。


  話を聞くと、深夜のコンビニのバイトに週2日行くので、早朝に帰宅するとつい寝てしまうという。当初は学校の机で寝ていたが、最近は授業にでるのもオックウになったらしく、出席数不足で単位を2個ほど落とすという。

(私) そりゃ、お前が良いのなら仕方ないけど。。
(次男) とりあえず不動産屋に聞いたら、大学に近く値段も手頃な部屋を紹介してくれて。。。結構気にいったんだ。
(私) そうか。。。


 想えば、私の仕送りが少ないためバイト代を小遣いにするしかない状態だった。

(次男)父さんがOKしてくれたら、契約するつもりだけど。。
(私) 分かった。お前の好きなところにしろ、だけど家賃が上がっても仕送りは変わらないかな。。
(次男) 分かってるって。。


 こうして今のアパートに2年半ほど住んでいる。何度となく行ったが、陽当りも良くない一階で暮らしている。我妻も、“もうちょっと考えなさいよ! これじゃ布団も干せないでしょ。。”と散々言ったが、本人が「これで良し」と思っているのだから仕方がない。


 大きな津波が来たら逃げる場所もないので心配だが、せめて残り半年弱 地震が来ないこと、来てもアパートに居ないことを祈るばかりである。
(写真は東日本大震災津波。三重大も隣が海なので、この状態になってしまう。)

                                         続く


プラス1 色づく京都 直指庵(嵐山)

 写真は、嵐山の直指庵(じきしあん)である。今年の紅葉は普段より一週間ほど早いらしく、嵐山のモミジも枯れ始めていたが、ここは見頃を迎えていた。場所は観光の中心“渡月橋”から北へ2㌔ほど行った山間にある。静かなお寺で訪れる人も少なく、ゆっくりと紅葉見物をさせてもらった。
それにしても、平日だというのに嵐山の混雑は凄まじかった。当初は天龍寺に車を駐車してレンタサイクルで観光する予定だったが、朝9時で既に満車だった。それが逆に良かった。車で向かった最初のお寺が、ここ直指庵だったからだ。

 ツキがあったのか無かったのかは分からないが、こうして満足できて嬉しかった