(長坂) 次男の就活 (6)

第1章 イマドキの大学生 その5


下見と題して不動産屋の車で移動することになった。一軒目は大学まで50mと近く、建物もそこそこ新しかった。家賃は確か4万円強。

(次男) 結構新しいし大学は目の前だね。
(係員) 立地条件は最高ですし、住人も三重大ばかりなので安心です。
(私)  うーーん。近いけど、もし地震がきたら何処へ逃げるんだ。?
(係員) 3階まで登っても10mはありませんね。
(次男) 何とかなるって。。
(私)  昼ならいいけど、寝ていたらお終いだぞ。。


もちろん住むのは次男であるが、私は心配だった。移動するとき、目の前に大学病院の高層病棟が見えた。
(私) もしここになったら、あの病棟の屋上まで何分かかるか試しておけ。。
(次男) えーーぇ。
(私) お前なぁ。。日頃の訓練が大事なんだ。。
(次男)  いいけどさぁ。。受かってからだよ。。    
  次男は、ふてくさてれたような感じだった。
〜写真は三重大病院。逃げることができれば、津波もこの高層階までは来ないだろう。頑丈なので破壊もない。〜


続いて2件目に移動した。
2件目は、大学から車で15分ほどの高台にあった。JR関西線が防波堤の役割を果たしており、ここまでくれば津波の心配はない。(写真 線路が土塀の役目を果たす。東日本大震災では高速道路が侵入境界だった地域もある)
(係員) ここは高台ですし、部屋も2階なので津波の心配はありません。
(私) そうだね。ここなら安心だ。
(次男) しかし、周りは畑だし何もないよ。
(私)  そうだな。。。静かだな。。
(次男)  ・・・・・
(係員) じゃ、最後の3件目に行きますか。

どうやら次男には「独り暮らし」のイメージがあり、その中には「田園風景」は無いらしい。


最後に3件目を見に行った。目の前にスーパーがあった。大学まで自転車で10分程度。高台とは言えないが、津波から逃げよう思えば、隣に5階建てのアパートがあった。
(私) いいじゃないか。何といってもスーパーが近いのは良い。ここでバイトすりゃ食材も安く買えるぞ。
(次男)そうだね。
(係員) ここは家賃も手頃だし建物も古くはありませんが、今は一階しか空き部屋がありません。
(次男) 別に俺は一階でも問題ないし。。。
(私)  それはいかん。一階だと網戸にしたまま外出できない
(次男) いいよ。締めていくし。。。
(私) お前なぁ。毎日のことになると大変だぞ。。忘れることだってある。泥棒が入るし津波だって。。。
(次男) いいよ、俺が住むんだし。。。
      ・・・・・・
(係員) お客さん、ちょっと待っていてください。空きがでるか確認します。

 そういって、会社と連絡を取り始めた。

*写真が3件目のアパート(左の白い建物)。親としてはスーパーが近くにあれば何とかなる。私もUS単身赴任中 高熱で寝込んだ際、歩いて200mに日本食材店があったので栄養をとることができた。

                                         続く