コーヒーブレイク (長坂)

 以前紹介した小説 “永遠のゼロ”に引続き、2013年 本屋大賞の“海賊と呼ばれた男(上・下)”を読んだ。共に作者は百田直樹である。この本は、石油会社“出光興産”創業者 出光左三さんの生涯をつづっている。率直な感想としては、
 「日本には、こんな立派な人がいるんだ。」

多くを語ると、これから読もうとする人が興ざめしてしまうが、およそ歴史に名を残す人というのは、絶命の危機に接したとき周りの人が助けている。源頼朝石橋山の戦いで隠れていたところを敵将 梶原景時に見つかった。歴史書によれば、景時は
「この男は将来の日本を背負う器だ。殺すには欲しい」

と思って見逃したという。また、西郷隆盛は幕府から追われ月照とともに錦江湾に入水自殺したとき、奇跡時に助かった西郷を薩摩藩は死んだことにし、“菊池源吾”と名を変えて奄美大島に逃がしている。「死なせるには欲しい男」との思いからである。


出光左三さんも同じで、銀行や取引先から
「彼の会社を潰すことは日本のために良くない、我々が助けてやりたい」

と、人柄に惚れて常識を逸脱する援助を何度もしている。

「こういう人になりたい」というよりも、「俺じゃとてもできない」と思ってしまうが、せめて背筋くらいは伸ばそう思う。是非 一度読んでみてください。

 因みに 東京駅近くに出光美術館があり、左三さんの収集したコレクションが展示されている。こよなく愛した仙突(せんがい)禅僧&画家の双鶴画賛(そうかくがさん)があるそうです。東京在住の方は、興味本位で良いので行ってみてください。

さて、次回からは新ネタを連載します。 乞うご期待。