会長の”次男の大学受験”                                                                第3章  出陣5

豊田工業大学

 豊田工業大学(豊田工大)はトヨタ自動車が設立したこともあり、私には身近な大学である。毎年数名が我社から大学院へ入学しているが、調べてみると実に素晴らしいがことが分かった。


(本当に強い大学)

順位 大学名 就職率(%)
1 東京大学 80.4
2 京都大学 83.1
3 慶応義塾大学 82.1
4 豊田工業大学 97.5
5 大阪大学 60.6

表は週刊「東洋経済」が2011年に発表した“本当に強い大学”総合ランキングである。“強い”の評価尺度は、教育力・財務力・就職力の3つであるが、なんと豊田工大が並ある大学を抑えて4位に入っている。就職率は97.5%と他を圧倒している。勿論、トヨタを始め部品メーカーへの就職が保障されているからだが、企業は厳しいので役に立つ学生でなければ採用しないし、一時的に就職できたとしても長続きしない。教育効果(立派な大学生になったか)が必要である。
  “こんなに立派な大学とは知らなかった!”


(父兄に親切な大学)

年間授業料 入学金 入学金支払期日
豊田工大 600,000 282,000 国立合否 発表後
(国立)三重大学 520,800 282,000 合否発表後
(私立)立命館 1,518,000 300,000 国立合否 発表前

表が工学部の代表的な費用である。
 “私立大学は高くて。。。”これを払拭したのが豊田工大である。
1) 授業料は国立大学並である。
2) 入学金は入学するものだけが払う。(保障金ではない)

全くもって理に適っている。まぁトヨタが、いろいろな面で指導していると思うが、こういう私立大学があるとは夢のような話である。(写真は豊田工大)


 入学試験もユニークである。
1次はセンター試験のみ
2次は面接のみ。(まるで入社試験と同じ)

次男志望 ランク
三重大 A
豊田工大 C
名工大 C

一方、難易度は表の通りで名工大と同程度。次男のセンター試験レベルでは太刀打ちが難しいようだ。恐らく昨今の就職難を反映し名大・名工大の受験者が私立として選んでいるのだろう。

さて、願書を出す段階になって次男が弱気になっているのが分かった。
(次男) 面接試験と書いてあるけど、結構 落ちるらしい。
(私)  とにかく受けてみないと分からん。受験料は10,000円と安い。助かるな!
(次男) 面接はどういう対策をしたら良いかな。
(私)  ・・・父さんなら2つ聞くかな
     1)なぜ豊田工大を選んだか
     2)入学したら何がやりたいか。
  *最近は人物評価のため“成功体験を聞かせてください“もあるらしい。
(次男)  そんなこと。。。俺は遊びたいし、バイトもしたい。
(私)  そうかも知れんが、それを言うのはちょっとな。。
(次男) 俺のセンター試験結果じゃ不合格だろうと言われた。
(私)  そうか。だけど準備することは何もないのだから、受けるだけ受けろよ。
(次男)  えぇー? ヤダなぁ
(私)  ここなら国立大学と同じ費用だから、下宿しても良いぞ。
(次男) ・・・・
  センター試験の結果が良かった(三重大A)こともあり、豊田工大では描いていた大学生活(一人暮らし)が遠のくのだろう。かなりトーンダウンである。

そして数日後
(次男)  俺、豊田工大止めるわ。
(私)  何で、また。。。
(次男)  どう考えても受からん。先生も受からんといったし、行く気もなくなった。
(私)  お前なぁ。せっかくセンターで良い点が取れたのに。。。合格してから断ることはできるが、受けなかったら“それまで”だぞ。
(次男)  ・・・
(私)  分かった。しょうがないな。三重大頑張れ。
(次男) そうする。

こうして出願を取りやめた。戦で言えば、出陣したが“戦わずして兵を引いた”のである。“積極的には行きたくない”ことが根底にあるようだ。私には“もったいない話”だと思うが、若い時は、自分の夢・憧れといったコダワリが大切のようだ。

 これで、選択肢を自ら1つ減らしたことになる。

続く


プラス1 榊 裕之 学長メッセージ
本学は、1981年の創設以来、小規模ながら塾的大学として独自の工学教育を実践するとともに、創造的な研究を進め、科学技術の前線を拓き続けています。この実績を礎に、時代と世界の変化に応じて教育・研究の質を高め、内外で先導的な役割を果たせる大学への進化・発展を目指す所存です。・・・ 本学では「学内での実習・実験」と「企業でのインターンシップ」を重んじ、現物と現場に触れる中で工学や産業の諸手法を体得させ、「実践力」の大切さを知らせ、これを養うことに努めてきました。・・本学は、豊田佐吉の言葉「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」を建学の理念とし、時代を先取りする創造的な研究力を持つ人材を育てるとともに、自らの研究を通じて学術と技術の最前線を拓くことを使命としてきました。・・
 ご存知の通り、本学はトヨタ自動車株式会社の社会貢献の一環として設立され、間もなく30周年を迎えます。激動する世界の中で、未来を担う技術者・研究者を着実に育てるともに、人間社会と地球環境の将来に資する科学技術の研究開発を進め、わが国と国際社会へ貢献できるよう、教職員が一体となって努力を高める所存です。皆様には、引き続きご支援とご鞭撻をお願い致します。  〜写真は豊田佐吉

因みに、前回の豊橋技科大学長は榊佳之さん。今回は榊 裕之さんである。ピンときた人もいると思うが2人は兄弟で、裕之さんが兄。豊田高専2代目校長の榊 米一郎さんがお父さんである。


“大学は勉強するのが第1”と考えれば豊田工大は理想形である。一方で学生生活をエンジョイしたいと思うと“辛い”かもしれない。受験勉強の負担を軽減して、もっと高校の時に遊ぶ(楽しむ)という時代がくれば良いと誰も思っているが、今は逆転現象かもしれない。
 この意味で、高専は良い環境にあると思う。
“目一杯 自分のやりたいことをやる”
これを念頭に頑張ってほしいと思う。(説教じみて申し訳ない)


プラス2  次男が1番となった数学Cの問題 (第2章 潮時で紹介したかったが。。。)
 先日、本タイトルを書いた資料を整理していたら、次男が唯一 学校で1位を取ったという数学Cのテスト結果が出てきた。今さら。。と思ったが、“出てきた以上” 紹介します。 2011 名大文系 問2 設問は(1)〜(3)まであるが、次男のテストは いきなり(3)を解かせるというもの。 
お試しあれ。


『数字の"2"を書いた玉が1個、数字の"1"を書いた玉が3個、数字の"0"を書いた玉が4個あり、それらの合計8個の玉が袋に入っている。この状態の袋から1度に1個ずつ玉を取り出し、取り出した玉は袋に戻さないとする。』

 玉を8回取り出すとき、次の条件が満たされる確率を求めよ。
 条件:すべてのn=1,2,・・・,8に対して、1個目からn個目までの玉に書かれた数字の合計はn以下である。   

答えは4/5