会長の”次男の大学受験”                                                                第3章  出陣2

受験校決定 2

私立大学については前回に書いたが、今度は国公立大学の選定である。若い時というのは、自分の立てた目標(多くは1つ)に向かって全力投球することしか眼中になく、それが不可能を可能にし感動も味わえる(勝った時も負けた時も)が、世の中は それだけでは上手くいかない。簡単に言えば、ダメだった時の“ダメ”を最小限に食い止める準備を、戦う前にすることが肝心なのだ。(世の中では、リスク管理という)


そこで、2年前の長男と同じ考え方で次男にも提案した。

(私)  余計な心配かもしれんが、冷静になれる今 センター試験の出来で3パターンに分け志望校を決めておくと、いざというとき良いんだ。
(次男) そうかな。センター試験の結果が出てから考えればいいんじゃない。
(私) お前はそう言うけど、これは重要なんだ。
    センター試験の点数が想定内。想定外(良い・悪い)で受ける大学を決めておけ。
(次男) だって、センターで何点取りたいか言われても分からん。結果が出て、三重大の合格ランクが出てから考えるしかない。
(私) そうか。じゃ何点でも良いから、悪かった時にどうするか父さんが考えてやる。
(次男) ・・・・・
  ある程度想定していたが、“そんな暇があったら単語でも暗記する”と言いたげだった。

私は戦略を練り始めた。


なぜ子供の受験に、そこまで親の私が。。。。。。。隠れた理由が2つある。
1) 受験そのものに興味がある。試験問題を見るのが楽しい。(ワクワク感)
2) 自分が大学受験を経験していないので、子供を借りて試している。(ドキドキ・ハラハラ)
こうやって書いていて思うのだが、子供にしてみれば“有難迷惑”そのものかも知れない。一方で、次男と同級生の受験校決定話を聞くと、
 “そんな志望校じゃ、上手くいくわけないだろう。戦う前から間違っている”
“もっと親(周り)がアドバイスしないと本人が可哀想だ。高校生なんて、そんなに大人じゃない。何もかも自分で考えろなんて無理だ”
 と思うことも多々ある。 〜写真は東大理Ⅲ(医学部)での胴上げ〜


さて、私が考えたストーリー(方針)は以下である。
1) 成績が“良すぎ”ても三重大以上は望まない。(“一人暮らし”の実現)
2) 成績が“悪すぎ”ても下へ落とさない。

場合分け 想定内 大きく下回る
三重大ランク A〜D E
方針1 第1志望 2次配点が高い
方針2 三重大は受ける

表が方針に基づくセンター試験のランク分けである。センター試験結果における三重大合格ランクを基準として、想定内をA〜Dとした。ランクDとは合格可能性35%であるが、現役受験生は勢いがあるので直前まで成績がアップする(浪人は駆け込みパワーに欠ける)。だから、“第1志望に絶対合格してやる”という根性で頑張れば十分受かると読んだ。しかし、ランクE(20%以下 5回に4回は不合格)では、きっぱり諦めて2次試験配点の高い大学を受けるのが得策である。なぜなら次男は 模試で平均してBランクであり実力は十分あると見ていた。
 “試験だから、何かの理由で実力が出せないことはある。しかし、続けて実力が出せないことはない。(実力があれば、失敗は2回続かない)
 因みに、実力のない人間が挽回できるのは“マグレ”しかない。

前期配点 三重大 名工大 首都大学東京
センター試験 550 600 400
2次試験 400 900 800
2次比率 0.7倍 1.5倍 2倍

次に、2次配点の高い大学を調べた。いろいろ調べると各大学の特徴が分かって非常に面白かった。(この話は機会があれば。。。) その中で私が目につけた大学が首都大学東京である。難易度でいえば三重大より2ランク程上であるが、2次試験の比率が2倍と極めて高く、センターでコケても十分挽回できる。一方の三重大は、センター試験の配点が高いので、逆に考えるとセンターで良い成績を取れば合格は確実になるといえるのだ。
私は次男に言った。
 (私) お前さぁ、もしセンターがコケたら首都大学東京にしろ。ここは、2次試験勝負だ。名工大と同じ難易度だが、総合大学だ。
(次男) 首都大学東京? 聞いたことない。
(私)  父さんの頃は、東京都立大学と呼んでいたが、いつの間にか合併して名前が変わったようだ。 〜写真は首都大学東京
(次男) ふーん。
(私) あとは、たとえ浪人する覚悟だったとしても、第1志望(三重大)は受けておけ。でないと後悔する。
(次男) ・・・・

東京嫌いも重なって、全く関心を示さない次男であった。

三重大判定 A〜D E
前期 三重大 首都大学東京
後期 三重大 三重大
(私立)
その1 名城 名城
その2 立命館 立命館
その3 早稲田 早稲田
その4 豊田工大
その5 名城センター利用
その6 立命館センター利用

こうして、一応2人で相談?して受験校を決めたのが表である。今から眺めると矛盾はある。
1)“一人暮らし”が第1希望なのに、名城だったら本当に行ったのだろうか?
2)E判定を想定して、もう数校受けさせても良かったかもしれない。(例えば同志社。。。)


最後に次男に聞いた。
(私) ところで、どこでも行かせてやる(もし全部合格)といったら、行きたい順番に言ってみろ。
(次男) うーん。 1が三重大、2が立命館
(私)  それから?
(次男) それだけ。
(私)  お前なぁ。 ・・・金出すのは俺だぞ!と言いたかったが止めた。

因みに全部受けたら受験料だけで152,000円。金が掛かる大学受験は!


時あたかも12月30日の夜のこと。いよいよ今年も終わり、年明けには出陣となる。

続く


プラス1 首都大学東京の入学式 式辞
原島文雄学長)
これからは、それぞれの専門の勉学においても、また人生の中で最も充実した自由な時期となるでしょう。思い切り人生を楽しんでください。悔いのない青春の1ページを飾ることを期待いたします。

⇒この原稿を書いて初めて知ったが、原島さんの父親が名著“力学”を世に出した原島 鮮さんである。私の大学時代に大きな影響を与えた書物である。この本の完全読破を夢に大学で勉強に励んだと言っても過言ではない。詳しくは2009年のOB日記“会長の大学勉強回想録”を読んでください。
 力はエネルギー(運動ポテンシャル)を最小にする方向に働く。
∫(δT−δU)dt=0 
これは素晴らしい! 私の人生観の1つです。


川淵三郎 理事長)
 時期尚早、前例がないという高い壁を打破するためにこそ、首都大学東京の知る・究める・考えるのコンセプトのもとにしっかり理論武装し、前例を壊し、新しい前例を作る学習を三究めて欲しいと願っています。

⇒川淵さんと言えば、今のサッカーブームを創った立役者の1人です。先日のワールドカップは多くの日本人が感動した。新聞・テレビを見る限り考えが明瞭でブレない。人の上に立つ器の持ち主でしょうか。随分前のサンデーモーニング(日曜朝 関口 宏さん司会)で、野球解説者の張本勲さんが、“大リーグも良いけれどもっと日本のプロ野球を盛り上げて欲しい。”と言ったのに対し、川淵さんは下記コメントを言われ立派だと思いました。

「日本はワールドカップで優勝したいと思っている。だから優秀な選手はもちろん、どんどん海外に行って世界で活躍してほしい。そして、世界一流の技や勝ち方を持ち帰り積み上げてもらいたい。Jリーグは心配ない。後続の選手は沢山いるし我々も育てる。」


 猪瀬直樹 東京都知事
人からどう見られるかを気にするのではなく、自分に根拠をおいて、自分で何か疑問を持ち、そして仮説をたて、その仮説を実証するために努力することが重要である。

⇒猪瀬さんは、あの石原慎太郎さんに隠れて表舞台(メディア)に登場する機会は少なかったと思いますが、たまに聞くコメントは鋭く
“こんなこと言って、石原知事と喧嘩にならないか?”と思ったものです。しかし、さすがは石原さん、“維新の会“設立で知事を辞めるとき、
「後任は猪瀬さんで良いんじゃなですか」
と話していたのには正直 驚いた。
いずれにしても、さすがは東京 優秀な人材が沢山いる。もちろん、取り巻きが立派なら学生も立派か?は別問題だが、日本を背負っている人を身近に見るというのは幸せだと思う。