会長の”次男の大学受験”                                                                第2章  潮時 7

そして頂点に立った

 “きっかけ”とは恐ろしいものである。正のスパイラルアップが始まると、今までが嘘のように、成績が急上昇していった。

 我家は“金が掛かると頑張る性格”なので、次の条件を出してやった。
「総合成績が30番以内だったら1万円」
「数学・物理・・・ 単独科目で10番以内だったら5千円。5番以内なら1万円。1番になったら3万円」
「その他、凄いと思ったら報告。金額は交渉」


次男は金目当てだったか定かでないが、当然のように、これに乗った。そして金を稼いだ。

科目 順位 褒美
化学 3 1万円
物理 8 5千円
学年順位 27 1万円
古典 6 5千円
数学 1 3万円

表が3年生になってからの成績である。(理系126人中)
親としては、子供が良い成績をとってくれるのはとても嬉しいことではあるが、急に・しかも何回も良い成績となると、
“どうなってしまったんだ。”
 お金を欲しむ訳ではないが嬉しい誤算だった。まさかの連続である。
 今回は親の私が“泣き”を入れた。
(私) お前すごいな。父さんは言ったことは守るつもりだったが、ちょっと条件を変更してくれんか。
(次男) うん、いいよ。
(私)  一度払った条件が2回続いた時点でおしまいにしてくれ。(例えば化学が5番以内2回)
(次男) しょうがないなぁ
(私)  ・・・

そして、とうとう夏休み前の数学Cテスト(行列・確率統計)で学年1番を取ったのである。100点満点の89点だったが、この中に次男しか解けていない問題があった。名大過去問の改題らしい(残念ながら保存していない)。名大数学の特徴は、小問を解かせながら最終設問にたどり着く形式らしいが、テストはいきなり最終設問を導けというものだった。部分点なしの満点か0点。出来たのは次男1人。だから1番という訳だ。折しも出題者が学級担任であった。ピック(理系特別クラス)の誰も解けない問題を担任クラスの次男が解いた。次男の弁では

(先生) この問題が解けた人は長坂だけだ。
(次男) ・・・(照れた)
(先生) (次男の答案を見て)何だ長坂。。その割には簡単な計算問題が間違ったのか。
(次男) ・・・(苦笑い)

どうやら、先生も嬉しかったようである。そして、この一件が波紋を呼んだ。
(他クラス) 「長坂って、どういう奴だ。」
(仲間)  「お前、スゴ過ぎる」


振り返ると、次男の入学試験の順位は275人中275番。そして今 理系・文系のクラス分けはあるものの、数学と考えれば275人中1番。実に274人抜きである。
こうして、一躍 受験の表舞台に立ったのである。
続く


プラス1 2013名古屋大学の入試問題【1】(数学Cの範囲)
 今年の2月に実施された名大理系数学の問題【1】である。上記で説明したように、最終回答(3)を導くために設問(1)(2)がある。合否の分かれ目は、如何に(1)(2)で点数を稼ぎ出すかであろう。お試しあれ。

3人でジャンケンをする。各人はグー・キョキ・パーをそれぞれ1/3の確率で出すものとする。負けた人は脱落し、残った人で次回のジャンケンを行い(アイコの時は誰も脱落しない)、勝ち残りが1人になるまでジャンケンを続ける。この時、各回の試行は独立とする。3人でジャンケンを始め、ジャンケンがn回まで続いてn回目終了時に2人が残っている確率をpn、3人が残っている確率をqnとおく。

(1) p1、q1を求めよ。
(2) pn、qnがみたす漸化式を導き、pn、qnの一般項を求めよ。
(3) ちょうどn回目で1人の勝ち残りが決まる確率を求めよ。

私も、ちょっとやってみた。(1)はできそうだったが結局諦めた。答えをみると成程と納得した。(2)(3)は頭が痛くなった。高専4年生の頃なら、きっと分かっただろう。。。 ナンチャッテ。


プラス2 名古屋大学 濱口総長の挨拶(2013年 入学式)
 皆さん、名古屋大学へ入学おめでとうございます。本日ここに、2,230名の皆さんを名古屋大学へ迎えることとなりました。君たちの入学を、心から祝います。・・ 142年にわたる歴史を有する名古屋大学は、2つの重要な特徴を持っています。
まず第1として、名古屋大学は常に中部の発展と共にあり続けたことです。ご存じのように、中部は日本のものづくりの拠点、国際的な産業の集積地であります。愛知県の工業出荷額は34兆円で全国1位、製造業従事者は80万人でこれも全国1位です。・・・
第2の特徴は、研究者の育成にあります。・・学術憲章に、「自由闊達な学風、豊かな人間性を持つ勇気ある知識人の育成」と言う言葉があります。覚えておいてください。これはどんな意味を指すのでしょう。・・・
今朝気がついたと思いますが、名古屋大学は大きな門も高い塀もありません。この構造は、言わば垣根のない、自由な空間を象徴しています。また、今皆さんの座っている豊田講堂を見てください。この豊田講堂は、50年を越える建築ですが、50年たっているとは思えないモダンな建物です。私たち名古屋大学は、常に自由であると共に時代の先端でありたいと・・・教育の根幹は、学生と指導者が対等の関係で議論すること「学問の前には、みんな平等である事」にありました。この対等な関係で真剣に議論を行うこと、これが自由闊達という言葉の示す精神だと思います。今人類は、人口爆発、食糧危機、環境破壊等解決困難な様々の問題に直面しています。皆さんが、これらの問題について、自分なりにしっかり考え、真剣に議論し、解決策を見いだせる人材になっていただきたい。
名大生は、その70%が東海4県の出身です。この点から見ると、名古屋大学は大きな地方大学に見えます。しかし一方で、君達の卒後の就職は大半が国際的な企業であり、君たちは、将来国際的な場で勇気と判断力を示すことのできる人材に育つ事を求められています。
名古屋大学からNagoya Universityへ」、これが私たちの大学改革の目標であります。名古屋の文化を持つ国際人になっていただきたい。