会長の”次男の大学受験”                                                                第2章  潮時 5

きっかけ その1

 “一人暮らしがしたい。”
それには国公立大学合格が絶対条件とは分かっていたが、じゃ勉強したかと言えば、そうではなかった。半田東高校は理系で3クラスあり成績優秀者を集めたクラス(40名程度)が1つあった。 “ピック”と呼んでいたが、ここに入れば刺激にもなるし、自信にも自慢にもなる。

期間 順位 理系126人中
1期 38
2期 73
3期 31
4期 58
5期 53

表が次男の2年時の成績であるが、40番以内が1期・3期の2回あった。しかし、残念ながら普通クラスとなった。決まったその日、次男はちょっと寂しそうに
 (次男) 俺、ピックになれなかった。
 (私)  そうか。。。残念だったな。
  
“何とかして成績を上げないといけない。そのためにはピックに入って。。。”
“きっかけ”が欲しい。そう考えていたのかもしれない。

やがて、2年も押し迫った2月、河合塾の3者面談があった。この時はなぜか私の同席を受け入れた。面談してくれた事務員は既述したYさんである。

(Yさん) このままでは、ダメだと思っているだろう?
(次男)  まあ。
(Yさん) じゃ、まず環境を変えないとね。
(次男)  。。。まぁ。
(Yさん) 土日に、河合塾の自習室で勉強してみるか。
(次男)  いやぁ、それはちょっと。。。
(私)   いいじゃないか。刈高や刈北の生徒と勉強して刺激になるぞ。。。
(次男)  それが、いやなんだ     ・・・・・
(Yさん) 何をやらないといけないと思ってる?
(次男)  英単語かな?
(Yさん)  そうか、じゃとりあえず“即単”を1日1ページずつやってみるか。 〜写真が”即単”〜
(次男)  分かりました。

 こんな感じで3者面談は終わった。この時の“即単”1日1ページの約束は、私もYさんも、まともに信じていなかった。しかし、次男はこれを言われた通りに読んでいった。
〜写真は次男が最も勉強した“即単”・・・手垢がついている〜
 
実は、これが この後の受験勉強を進めるうえで非常に大きな“きっかけ”となった。一言でいえば、
“嫌いだった英語が、単語を覚えたお蔭で好きになった”
                 続く


プラス1 私も真剣に読んだ受験参考書
 大学受験に関する書物は数えきれない程ある。何しろセンター試験だけでも40万人以上が受験するし、私立特化の生徒も多数いる中で、夫々が目標に向かって頑張れば、悩みもあれば欲も出る。そして、それを助ける書物も必要という訳だ。私も長男・次男の大学受験を通して多くの書物にお目にかかったし、自らも趣味の検定試験(英語・歴史。。。)に際し、大いに利用している。利用価値が高いのは、以下の2点である。
1) 内容・レベルに合わせた書物の数が多く、分かりやすい。(質・量ともに充実)
2) 安価である。
これは“競争原理”が働くからで、陸上競技(スポーツ)の世界と同じだ。書物を発行する側も目標達成(売上・シェア・競合に勝つこと)を目指して、日夜 “良い書物”の作成に奮闘している。
自由競争は良いことだと思う。


さて、前置きが長くなったが、数ある書物の中から2冊を紹介したい。


“だからお前は落ちるんだ、やれ!” 吉野 敬介
ヤンキーだった著者が心機一転して大学受験を決意し、その後 予備校の名物講師となって生徒を教える。というもの。

多くの人間が、他人の生き様に興味を抱くのは次の2つである。
1) 吉野さんのように、いわゆる“悪”または“バカ”と思われている人間が立派になった話。
“原石を発見しピカピカにする” 
“錆を落として使いものする”
逆境をバネにして。。。貧乏にも負けず。。心を入替えて。。。こういう話が日本人(私)も好きである。ついつい応援したくなってしまう。


2) 順調だった人間・金持ち人間が奈落の底に落ちていく話。
人の不幸を喜ぶというのは大げさかもしれないが、人間には“妬む”心があるらしい。テレビ番組や雑誌はこれで売れているかもしれない。


“人は変化に興味を持つ。変化が大きいほど魅力的なのだ。”

私が今連載している“次男の。。”も上記1)だと思う。人間は、簡単に変われるものではない。さて、上記本の中で、次のことが書いてあった。
 “努力したからと言って成績が比例して上がるものではない。成績はある時 急に上がる。そういうものだ

たしかに、自分の人生を振り返ってみてもそうだった。陸上競技(現役)の記録も、突然伸びた。もちろん努力は続けていたが、努力と成果が数学的に関係あるかといわれると無関係だったかもしれない。ちょっと横道に外れるが、古典『徒然草』の155段に次のことが書いてある。
 “春が暮れてのち夏になり、夏が終わってしまってから秋がくるというものではない。春は春の中に夏の気配をきざし、夏は夏のうちから秋の気配を通わせ。。。
 落葉もまず葉が落ちてそのあとに芽がでるのではなく、下から芽が出る力にこらえきれず古い葉を落とすのである。“
 
言っていることは同じで、人間の目には急な変化に見えることも、実は以前から徐々に変化しているというのである。
この変化を見抜く力があれば良いが、なければ信じて諦めずに芽が出るのを待てば良いというのが私の解釈である。
徒然草』は1330年に書かれており、『方丈記』と双璧をなすエッセイだけあって、800年経った今でも我々の心を捉えて放さない。 



東大生が描いたマンガで学ぶ 大学受験 
この本は、勉強方法についてマンガのストーリーで描いたもの。 “東大”というタイトルの受験書物は沢山出ているが、私が見る限り法則がある。それは、
 “必ず著者が東大卒または現役学生である”
東大を語るには東大生。恐れ多くて他校では。。

本が売れるには、“興味を引く”ものが必要である。
大学受験は今でも“東大”を頂点とする金太郎飴の構図(ピンからキリまで)であるから、「どうすれば東大に合格できるのか」は興味を引くところだが、多くはレベルが違いすぎて参考にならない。
“生れ変らないと出来やしない”
と思ってしまうが、この本は、“効率的な勉強法方法”と“具体的な参考書など”が一般レベルの受験生目線(偏差値50?)で書かれており納得した記憶がある。今でも受験に関する参考書の話題が出ると、この本に載っていたか?と調べている。

このマンガ本を読んで思う事は、
 “何を捨てるか、捨てる勇気があるか”
ここが勝負の分かれ目だと感じた。

 *今回は本題よりもプラス1の方が長くなってしまった。(つい力が入ってしまった)