会長の”次男の大学受験”                                                                第2章  潮時 3

I 君 その1

 次男に大きな影響を与えた一人に陸上部OBのI君がいる。私も随分と世話になっている。次男も子供の頃から元旦に同行させており、交流をもっているようだ。彼は元旦走り初め&茶話会の常連で、毎回 株の話を興味深く話してくれる。
 さて、次男に“人とは違ったこと”があるとすれば株取引をやっていること。私は、入社後 会社の奨めで“持ち株会(毎月定額を払って自社株を購入する制度)”に入会し株を始めたが、次男は中学生の時に興味をもった。
 (次男) お父さん。俺、株が買いたい。
 (私)  買うと言ったって、100円・200円で買えるものじゃないぞ。
 (次男) 知ってるよ。
 (私)  じゃ、どうするんだ。
 (次男) お年玉で貰った貯金でやる。
 (我妻) あんた。祖父ちゃん祖母ちゃんから貰った大事なお金なんだよ!
 (次男) だから、そのお金を元にして金を増やすんだ。チョロイ・チョロイ。
 (我妻) あんたね。兄ちゃんや姉ちゃんのように貯金して好きなもの買いなさいよ。
 (次男) そうだよ。だから株買うじゃん。
 (我妻) ・・・・・・
 (私)  よし、分かった。 じゃ 銀行で口座作るか。だけど、自分の小遣いの範囲だぞ。
 (次男) ありがとう。
 (我妻) ・・・・もう。。


私は、“すぐ儲かるほど株は簡単じゃない”と思っていたが、早い時期に痛い目をするのは、それはそれで良いと考えた。それと、中学生から株に興味があるというのは、ひょっとして
“相場師の片鱗? 大儲けして私にも分け前をくれれば。。”

か、とかすかな期待を抱いたのも事実だ。すぐにネット取引の口座開設をした訳だが、これが結構大変だった。一般的には親の口座名義で取引をするのが常識らしく、自分名義となると未成年者(義務教育)には制約があるようだ。基本は親の監視下でやるらしい。

 やり始めると、本人なりに調べて売買したようだが、チョロイ・チョロイとはいかないようだ。それでも本人は強がって、

(次男) ○×会社の株は上がると思っていたが、やっぱり上がったよ。
(私)  それで、お前買ったんか。
(次男) いやぁ、迷っていたら買えなくて。
(私)  そうか、残念だったなぁ。


こんな会話を何度したことか。。。 下宿生活が決まった先日、残高について聞いてみた。

(私)  ところでお前、株の口座に今どれくらいあるんだ。
(次男) うーん。2万円くらいかなぁ。
(私)  そうか、随分減ったな。
(次男)   ・・・(苦笑い)
(私) 父さんはネット取引が性に合わないから、口座にある残金3万円、お前に託すわ。
(次男)  “くれる”なら貰うけど。
(私)   あー やるよ。その代り株に使うのが条件だ。もし儲かったら半分くれよな。
(次男)  考えとく。
 
上記の会話の如く、随分と冷めていた。当初の軍資金7万円の他にも金を注ぎ込んだから、恐らく10万円以上は損をしていると思う。
  “株は簡単に儲かるものではない。”と分かった思えば、10万円の授業料は安いものかもしれない。


 前置きが長くなってしまったが、I君が元旦茶話会で話す株講演?を聞いたのが縁で、尊敬する(憧れる?)一人としているようだ。

続く


コ-ヒ-ブレ-ク 忘れない味
 GWに2泊3日で能登・北陸を旅行した。輪島で食べた海の幸は新鮮だった。金沢の兼六園・ひがし茶屋街を歩き加賀100万石の歴史ある風景に癒され、地元で人気の“おかめ饂飩”を食べた。夜の香林坊では地元サラリンーマンに交じって飲み屋の暖簾をくぐった。変わり種としては富山の“白エビバーガー”。どれも美味しい味ではあったが、私も妻も北陸には忘れられない味があった。それは、25年前に食べた“イワナ寿し(写真)”である。これが食べたくて旅行したといっても過言ではない。
30年前の話になるが、富山から我社へ出向に来たS君がいた。彼は富山高専の出身だったので、話が弾みよく遊んだ。その後 年賀状をもらう度にお誘いを受けた。
 “富山は魚が美味いので一度遊びにきてください。”
 そして結婚した年に、妻を連れS君宅でお世話になった。富山の米、海の幸・山の幸を御馳走になったが、何と言っても“イワナ寿し”が一番だった。
 (私) これ、本当に美味いな。
(我妻) 本当、美味しい。
 (S君) そうですか、ありがとうございます。

あれから25年の年月が経ったが、あの時と同じ味だった。
 (私)  これこれ、この味!
 (我妻) 魚臭くなくて、本当に美味いわ。 
 我々の体(舌)は覚えていた。(忘れられない味)


*店の名前 五箇山旬菜工房 いわな
http://www.shokokai.or.jp/50/164021S0001/index.htm
 五箇山白川郷と並び世界遺産に登録されている。]
~写真は白川郷にて~