Coffee Brake(長坂) 北アルプスの魅力

第1回 ジャンダルムに憧れて

 写真の後方にそびえるのが、今年の夏に登ったジャンダルム(3163m)である。ジャンダルムとは衛兵(憲兵)という意味で、奥穂高岳(3190m)を守ることから名づけられたようだ。しかし山の高さとは裏腹に、ここを登るには難所が待ち構えている。

 出発日(8/10)夕方時点の天気予報は生憎の雨模様であったが、山の空気が吸いたくて、とりあえず上高地まで行った。すると天候も回復して来た。横尾から涸沢(からさわ)を抜け予定通り穂高山荘に到着した。正直言えば、ジャンダルムを登ることに消極的であった。下記が本音である。

“難所を越えるには年を取り過ぎた。できることなら悪天候を理由にして中断し、上高地あたりの温泉でゆっくりしよう。” 


 本来なら晴天をお祈りするのだが、悪天をお祈りするから神様がヘソを曲げてしまったようだ。
8月12日 午前4時30分 外は快晴であった。こうなると、もはや言い訳はできず難所をいく覚悟を決めた。奥穂高岳(奥穂)の頂上からジャンダルムを目指した。やがて、“馬の背”と呼ばれる難所を通過する。写真がそれで、家で言えば屋根の頂上を歩かないといけない。鎖が取り付けてあれば安全に渡れるかもしれないが、岩の影にならない場所では、鎖に雷が落るためできないのだ。
その後も、恐怖とスリルの連続であった。そして奥穂から1時間、やっと頂上に辿り着いた。憧れていたジャンダルムに立つことができたのだ。天気もよく360度の大パノラマが広がっていた。(写真が頂上で、中央の突きでた山は槍ガ岳である。)

ジャンダルムの魅力は何といっても
「カッコいい!」

カッコいいのは山の形もあるが、むしろジャンダルムの頂上に立つ人である。奥穂からその姿が見えるのだ。大声で呼べば答えるほどの距離にある。しかし奥穂は登ってもジャンダルムには行かない。人数にして100人に1人くらいだと思う。だから値打ちがある。(危険を伴うが。。。)

 今回の山登りで感じたことがある。
ジャンダルムという高い目標を達成すると、今までの目標(奥穂)が単なる通過点になってしまう。簡単に思えてくるのだ。不思議なものである。

 たぶん、陸上競技の記録も同じではないか。100mで言えば、昔10秒を切ることは不可能といわれていたが、誰か1人破ると9秒台が当たり前になっていくのと同じである。

ところで、最近の傾向の1つは、韓国人登山者が急増していることである。北アルプスは特に人気があるらしく、山小屋にはハングル語の説明がある。どうやら自国に高い山がないのが理由らしいが、はるばる韓国から北アルプスを目指すというのは、喜ぶべきか。。。

 これから、今まで登った山の中で印象に残っているものを紹介します。連載ネタではなく、気が向いたら載せるネタ(コーヒーブレイク?)とします。