陸上部小史12 小栗達也先生

 高専に進学が決まった時、中学の先生から「高専には陸上にいい先生がいるよ」と言われました。それと校内の長距離走では速かったこともあり入部しました。小栗先生は1年前(1967年)に赴任しておられました。
 2年生の時(1969年)に学園紛争があって、その後は寮の風紀が乱れていました。2月頃だったと思いますが、寮内で喫煙が発覚し陸上部員もその中に入っていました。先生はすぐに陸上部を解散されてしまいました。主将や先輩からは、先生に謝ってもう一度陸上部の復活をお願いしようと誘われましたが、3年生からは自宅通学の予定でしたし、陸上もやめたいと思っていましたので参加しませんでした。
 3年生の5月の終り頃だったか、小栗先生の教官室に呼ばれて、「元気でやっているか、学校生活はどうか」などと聞かれました。ちょうど勉強だけの生活に物足りなさを感じていて、入部をお願いしました。この時声を掛けてもらっていなければ、陸上を続けていなかったと思っています。
 先生に最後にお目に掛かったのは、1993年2月に青少年公園でした。私は女子駅伝で、先生は国体合宿でした。終わってから後輩のお見舞いに一緒に行きました。先生は風邪が直ったばかりで「今回は珍しく寝込んでしまったよ」と話されていました。別れ際、どことなく元気がないご様子でした。「先生、もっと体を大事にしてくださいよ」と言っておけばよかったと悔やまれてなりません。1993年3月14日、55歳で天国に逝かれてしまいました。