陸上部秘話(歴代10傑 続き)  長坂

当時(40年前)は、5年生が卒業時に“闘”という文集を作っていました。部員全員が原稿を書き、5年生がガリ版印刷して完成させます。(今の情報処理時代では考えられないと思いますが、原板を手描きで作り必要部数だけ手動印刷する)。私はこの文集の最後に歴代10傑を添付しようと考えました。勿論、余計な印刷の類は言い出しっぺの私がやろうと決めました。

 この一部始終を小栗先生に話しました。今まで15年間の記録を全て調べることは大変なことなので、私としては地区大会・全国大会など残っているものを集めて作ることを考えていましたが、先生は

「せっかく歴代記録を作るんだから、全ての記録を調べよう。俺の部屋に古い資料があるから、長坂も協力してくれよな。」


これで何とかなる。後はデータを整理して印刷すればよい。ところが、先生の部屋に行ってビックリ。人間が入れるほど大きなダンボールに、それもグチャグチャに、山のように書類が入っていました。

私:「これは。。。」
先生:「いやぁ、いつか整理しようと思ってな。。(苦笑い)」
私:  ・・・・

とにかく、やらないと前に進まないので始めましたが、結局2日間掛かりました。しかし、この整理で眠っていた記録が複数見つかりました。例えばクラブを辞めてしまった先輩の記録とか、校内記録会における隠れた記録とか。。

 探せばみつかるものだな。やって良かったと思いました。新入生で入部して、5年間やってOBになれば理想ですが、諸事情で全員そうはならない。しかし記録は残る。自分の記録が残ると言うのは、陸上競技の良さの1つかも知れません。そして、歳を経てもなぜか覚えている。しかも記録を出した場面まで鮮明に!



さて、すべての記録が揃い10傑は完成に近づきかけましたが、新しく加わった種目(やり投げなど)は10人分の記録がありません。小所帯故しかたないことです。そして、もう1つ。これは小栗先生がこだわったことですが、10傑として載せるには忍びない(平凡すぎる)記録があったこと。当時の先生は愛知県の国体監督をしており、やはりプライドがあったのでしょうか。
先生:「長坂。。この種目は5傑でやめよう。。この種目は最低記録を。。としよう」

記録にコダワリの無い(10傑を作ることにコダワル?)私としては、いずれ誰かが塗り替えるのだから適当で良いと考えていましたが、ここは先生の意見に従いました。
こうやって歴代10傑は誕生しましたが、後輩たちは毎年メンテしてガリ版印刷しました。今のようにデータ化され保存も簡単になるまで、10年以上地味な作業が続いたと思います。


 正月の茶話会でも話しましたが、今の現役が話してくれる記録は、信じられないほど素晴らしいものです。800Mを2分切るとか、1500Mを3分台で走るなど、未来永劫ないと当時は思ってました。ここまで陸上部を強くしてくれた伊藤先生、平成とともに駆け抜けている犬塚君、忙しい合間をぬって指導してくれる小栗仁也君をはじめ、皆さんのお蔭で10傑は続いていると思います。


 最後になりましたが、豊田高専がある限り陸上部は存在します。そして現役は頑張りOBは応援する。これは不変です陸上競技もスポーツなので、競争の中で勝敗が決まります。、強い時も、そうでないときもあります。また、人間のやることなので、実力が出せなくて悔しい思いをすることもありますが、主役はいつの時代も”現役”です。OBは”現役あってのOB”と思っています。

 私もOBの一人として、これからも現役を応援したいと思います。

終り


(追伸)
歴代10傑に加え、その年の10大ニュースを作ったらどうでしょうか。平成も終わりますし、やるなら今だと思います。