会長の”今時の大学受験(後編)”                                                  都(みやこ)は遠く  その2

 各大学が実施する2次試験の願書は、センター試験が終了してから1週間後に受付が始まり10日間で締切りとなる。一方で試験結果は3ヶ月後でないと通知されない。そこで受験生はセンター試験が終わると直ちに、自分の解答を「自己採点集計カード」なるものに記載して大手予備校に送る。これを基に予備校が集計・分析し合否予想がされるという、不思議?な仕組みの上に成り立っている。従って、問題用紙に自分の答え(選択番号)をしっかり書き込むことも重要な作業となる。提出義務も無い上に、良心に基づく自己申告制であるが、2011年の「駿台・ベネッセ」データネットでは、受験生全体の82%に当たる424,983名が利用している。これだけ母集団が大きければ精度の良い判定ができる。合否判定は願書受付が始まる前にあることが絶対条件だから、予備校の腕の見せ所となる。長い歴史を誇る大学受験において産み出された仕組みである。(写真は駿台予備校)

 さて、息子が自己採点した結果は、900点満点に対し650点(得点率72%)であった。下表は各大学のボーダー得点率(合格最低点)である。
-2次試験(前期)のホーダー得点率-

京大(物理工)85%
東工大(4類)83%
京大(地球工)82%
阪大(応用理工)80%
名大(機械・航空)78%
名大(物理工)75%
千葉(電気)75%
名工大(物質工)72%
名工大(電気)72%
静岡(電気)70%
予備校の情報は多少厳しめと言われているが,72%が意味するところは下記である。    ①京大は難しい足切りの可能性あり)  ②名大なら頑張れば可能性はある。  ③レベルとしては名工大静大。。。 予備校や高校の先生と相談した結果、 「名大の機械・航空」にすると言い出した。ここは地元トヨタを始め,自動車関連企業の就職に断然有利なことから、工学部の中では最もレベルが高い。ただ息子は以前、第一希望は京大(物理工)と話していたので、正直私は驚いた。 以下、息子との会話である。 (私) 「なぜだ。名大物理工ならいざ知らず、機械・航空はおかしいだろう。それにレベも高いし。。。」 (息子)「どうせなら、一番難しいところで勝負したい。」 (私) 「名工大静大なら頑張れば受かる。大学は入ってしまえば同じだ。」 (息子)「いまさら、行く気がしない。何のために京大目指して頑張ってきたのか分からない。」 (私) 「それほど京大に行きたいなら、とりあえず国立に行ってから大学院を目指すという方法もある。」 (息子)「今頑張りたいんだ」 (私) 「じゃ 足きり覚悟で、京大でいいじゃないか。」 (息子)「それも、もったいない」 (私) 「だったら駄目もとで、東工大で勝負してみろ。」 (息子)「合格するわけない。そんなに受験は甘くない」 (私) 「。。。。」  私の古い知識や価値判断など、息子の耳に届く訳はない。それでも私は、“ごちゃごちゃ”と口を挟みたかったが、最後に決めるのは本人である。結局自分の考えを変えることなく名大機械・航空となった。本人がどれだけ考えたかは不明である。おそらく大した考えは無かったと思う。高校の先生・予備校の先生の下記アドバイスであろう。 『650点(72%)だって合格する大学は沢山ある。足切りの無い難関大学にチャレンジすることが選択肢としてはベストだ!』 これは賢明だと思う。何しろ、沢山の経験を積んだ「受験のプロ」だ。有名大学に一人でも多くの合格者を出すことも仕事である。(写真は東工大 大岡山キャンパス) 次に後期の選択が待っていた。                                   続く プラス1 東工大の入試数学 過去15年間で最も難しいと言われている問題を紹介する。 (2001年 4番) 一辺の長さが1の正方形の紙を1本の線分に沿って折り曲げたとき、2重になる部分の多角形をPとする。Pが線対称な5角形になるように折るとき、Pの面積の最小値を求めよ。 レベルDであり、着想力と論証力を試す問題といわれている。私には解答を見ても理解できない難問です。OBの和田君(東工大)解けますか?