会長の”先生と呼ばれる日” その6

今回が最終回です。5月からスタートしたが、途中に高専大会があったので中断しました。ちょっと間延びした感じがありますが、最終回は、簿記の知識を技術者としてどのように使いかについて述べます。


その6 技術者としての使い道

そもそも、何の為に簿記の面倒くさい知識を使って真実の報告をするか。また、製品の原価を求めるのか。一言で言えば
“金儲けを公平に評価する。”。

株主であれば配当金を沢山欲しいし、株の売買で儲けたい。銀行であれば、儲かる会社に金を貸して利子が欲しい。国などであれば税金をきちんと払ってもらいたい。全て“金”“ゼニ”の為である。そして、ここにはwin-winの関係ではなく、むしろ
対立するのだ。だから、きちんと規則に当てはめて金勘定をしないと問題が多発する。人間は欲が深いのだ!!


 簿記の知識が仕事で役立ったこと
1)損益分岐点の手法を使って30億円/年の事業撤退をトップに報告したこと。仕事は「将来をどう読むか(予測)」がポイントである。これは当然ながら簿記では学べない。ただ予測を簿記の知識を使って説得する資料を書くと、説得力は大いに増し決断を容易にすることはできる。
2)会計学の考え方を使って、新規顧客と売買契約書を結んだ。会計学というよりも、商法であるが。。。ご存知かも知れないが、法律は弱者の見方に立っている。この世は放っておけば強いものが、どんどん強くなっていく。だから法律で守ってやる。売り手と買い手の場合、情報が少ないのは買い手である。この意味で買い手は弱い。だから法律(契約)を申し込んでくるのは買い手のほうである。売る方は、品物の原価・性能など多くの情報を持っている。売り手は黙っていれば良いのだ。双方が黙っていると商法526条が適用される。この法律を駆使して、社内も得意先も説得した。


技術者に必要な簿記の知識
簿記は初回に述べたように、事務屋(文系)の範疇ではあるが、技術者であっても下記の知識を有していると会社で役に立つ。特に自分で会社を興す(継ぐ場合も)、いわゆる経営者になるには必要である。
① 決算書が読めること(損益計算書貸借対照表
原価計算、製造業の場合は自分が設計したものの値段が計算できる。
上記の知識を習得する方法としては、日商簿記2級の知識があれば良い。半年ほど簿記学校に通うのが最も効率が良い。(週2回2時間)

なお経営に関する本もあり勉強するなら右記が手ごろである。

これでシリーズは終了です。次回から新ネタです。