会長の”先生と呼ばれる日” その4

高専大会があったので、久しぶりの記事になります。

初回でも書いたが、6月13日 日商の簿記検定試験があった。採点をしていていつも感じることであるが、「分かっているのにもったいない」という解答をよく見かける。試験官としては厳密を帰すために、残念ながら不合格をつけざるをえない。他の試験もそうであるが、「試験には必ず答えがある」これを忘れてはいけない。
さて、今回は工業簿記の話をする。工業と聞くと、何となくホッとしたことを覚えているが、そんなに甘くはなく、理解するために多くの時間を費やした。前出の商業簿記会計学が暗記・処理(早く正確に計算)能力を問われるのに対し、この工業簿記と後述の原価計算は処理よりも理解力・発想力を問われる。受験生の得点としては、満点か0点のどちらかかである。
工業簿記
工場・食べ物店などで作った製品(車、パソコン、、)、商品(ハンバーガー、、)の費用を算定する科目である。勿論、商品の原価算定も範疇である。ここでのキーワードは「標準」と「差異」である。原価は以下3つの合計である。
① 材料費(鉄板とか、ボルト、パン、肉、包装代)
労務費(品物を作る人に払う給料)
③ 経費(図面・レシピを書く人の給料、建物代、宣伝費用)

 零細ハンバーガーショップ“陸軍”の例で紹介する。(美味そうな名前じゃないかな?)

材料であるパンや肉は大型スーパーで購入するため、値段は毎日変化する。また、バイト学生が作るので、できる時間もまちまちだ。だからハンバーガー1個の原価を計算するのは大変である。しかし、“陸軍”も前回紹介した“真実な報告”をしなければいけない。そこで登場するのが「標準」と「差異」である。これを決める上で最も大切なのは、作る数を決めることである。(作る数とは売れる(売りたい)数である)
仮に1ヶ月3,000個(100個/日)作るとする。
① パン・肉などの材料費は、過去及び最近の物価から40円/個と見積もる。
② ハンバーガーを作る労務費は30/個円とする。
③ その他、宣伝費、店のリース代などの経費が20円/個(月額60,000円)
④ 売る時間は11時〜14時までと、17時〜19時までの5時間
 上記の見積もり額が“標準”と呼ばれるものである。そして、原価90円に対して150円で売るのである。
ところで、先月1ヶ月の費用を集計してみると、予定通り3000個は売れたが、肉の値段が高騰して(口蹄疫が原因?)材料費は50円(+10円)となってしまった。ただし、バイト学生を不景気のお陰?で安く雇うことができ20円/個(−10円)で、しかも出来高払いで済んだ(現実は時給制だが)。この+10円、−10円が差異と呼ばれる。このように標準・差異を決めれば簡単に費用集計することができる。勿論、「企業会計原則」としても認められている内容だ。店長(経営者は、これらの値を使って店を切り盛りするのだ)

次回は、ハンバーガーショップ“陸軍”の店長になって儲ける手段“原価計算”の話をする。