(長坂) 京都 2016  〜京ことば “考えときます”〜

日本には2種類の人間が住むという説がある
日本人、そして京都人である。


京都弁のことを、わざわざ「京ことば」と言う。それは【京都弁】という方言的使い方に抵抗があって、京都人は1100年の都が終わっても京都の事を地方だとは思ってない。これが京都以外の人から、閉鎖的とかプライドが高いとか言われる由縁かもしれない。


下記の会話はネットからの引用である。
・京都の老舗に業者から売込電話があり、女将は一通り説明を聞いて「分かりました。考えときます」と電話を切った。
 ・数日後、電話があり、「考えときますー」と電話を切った。
 ・しばらくして、また電話がかかり「“考えときます”と言われましたが、考えていただけましたか。。」と聞かれ、初めて女将は理解したらしい。京都では「考えときます」は「お断りします」だが、独特の京都表現だと。。。


はっきりと「結構です。お断りします。遠慮します。」とは言わない。言えない風土がある。
〜写真は祇園花見小路を歩く芸妓さん。いつもながら絵になる風景である。〜


プラス1 “考えときます”の時代背景
 京都は1100年の長きにわたり都であり続けた。天皇の周りには時の権力者がいた。平安時代藤原氏であり、武家社会では、平家・足利・豊臣秀吉などである。そして、それらを支えるのが職人であり商人だった。一握りではあるが、権力者に迂闊(うかつ)に逆らうと首が飛んでしまう。そこで、断る時には

“精一杯考えましたがダメでした。”という誠意を見せる必要があった。
〜写真は京都御所 ここが天皇の住まいである。〜

これが“考えときます”であり、次の時までに返事する“考えときます”と異なるわけだ。


京都弁が独特の柔らかい曖昧な言葉使いをするのは、見方を変えると生殺与奪を持つ権力者を相手に生きていくための知恵である。

この他にも、京都人とそれ以外の日本人で違うことが多くある。言い換えれば、都(中央)に住む人と“地方に住む人”の違いかもしれない。
〜写真は豊臣秀吉が造った壮大な伏見城。戦の時に身を守ると共に、権力の凄さを見せつける目的もある。〜


プラス1  主な京ことば  
京都検定テキストに記載してある京ことばを紹介する。(今、どれだけ使われているかは別ですが。。)

『アイサニ』 (まれに・時々) アイサ二本屋さんで会うエー
『イチビル』 (銚調子に乗ってふざける) イチビッテばかりでどもならん
『エンバント』(あいにく) エンバント今日は休みですみません。
『オコトーサンドス』(お忙しいことです)  年末に用いる挨拶語
カニココ』(ぎりぎり)  授業には、カニココ間に合うた
『キズイ』(きまま・わがまま) あの子はキズイヤナー
『セングリ』(次から次へと) セングリ服を替える
『ダンナイ』(さしつかえない) いなくても、ダンナイ
『ヤニコイ』(こわれやすい) ヤニコイ作りヤシ、キーつけヤ
マムシ』(鰻の蒲焼)



写真は世間一般の「ウナギ丼」。 京都ではこれをマムシ丼」というらしい。本当かな?? 
京都人以外の人が見たら、
京都って、蝮も食べるんだ。 スゲェ、、、いや阿保じゃない。。。」となる。“京ことば”ですと言われても、ヘビを連想してからでは食べる気がしなくなってしまう。