会長の”先生と呼ばれる日” その3

3回目は会計学についての話をする。これは、仕訳の基本、利益の算定、決算書の作成を行う上での理論となるもので、税理士試験、公認会計士試験では“財務諸表論”と呼ばれている。なにやら小難しく聞こえる。実際のところ、試験を受ける目的で勉強すると、とても味気ない学科であるが(暗記が多い)、“金勘定”とは何かという視点で眺めると、これほど味わいのあるものはない。

会計学
 理論の中心には“企業会計原則”と呼ばれ、その原点は「真実性の原則」である。下記がその内容である。
企業会計は、、、、真実な報告を提供するものでなければならない」
これだけである。最初に聞いたときは、当然じゃないか、ふざけるな!と思った
ただ、真実とは何か?これが難しい。物理ならばニュートンの法則があり、ボールを投げると放物線を描いて飛んでいく。この理屈(真実)が理解できるか否かである。しかし、先回も話したが簿記は人間が創造したものである。真実は人間が決めるのである。以下、例として株投資を扱う“陸軍”商事の場合を考える。
 A株を1000円で買った。 3月31日(期末)の市価は800円である。
 B株を500円で買った。  期末は800円である。
期末の“陸軍”の株はいくらか?
 答えから言うと、A株は800円、B株は500円である。仕訳としては、
  (借方)A株評価損 200円
  (貸方)A株    200円
この話を聞いた時は、違和感で一杯だった。技術屋の発想か、私の性格かは分からないが、“やるなら全部やれ”と思ってしまう。しかし、簿記の根本には「利益は少なめに報告するのが美徳」という考え方がある。すなわち、損(利益が少なくなる)する可能性があるときは申告する。しかし、得する場合は言わない。黙っておけなのである。勿論、将来の可能性の場合であり、実際に得をして黙っていたら脱税になる。ここで、“期末”という言葉が出てきたが、利益を算定するには期間を決めないと計算できない。さしずめ学生であれば、進級か留年(赤字)が決まる学期末のイメージである。
 さて、誰に真実の報告をするのか?? 実は沢山いる。株主、金を借りていれば銀行、税金を納める国。。。などの、いわゆる利害関係者である。それぞれ説明の仕方は違うが、真実として、「投資会社“陸軍”はA株・B株を買い200円の損失となった。」の報告となる。