会長の”先生と呼ばれる日” その2

前回の説明で1級の話をしたが、具体的な科目としては、①商業簿記、②会計学、③工業簿記、④原価計算の4科目がある。それぞれ25点満点の計100点で、70点以上が合格である。一見簡単にみえるがこれが大変である。以下に身近な話を交えて紹介する。

商業簿記
簿記の基本は仕訳(しわけ)といわれる作業であり、(民主党事業仕分けとは違う)
これを集計して会社の利益、会社の状態を“血も涙もない数字”で表す。商業簿記は、まさしく仕訳・集計の連続で、緻密(チマチマ)な計算能力を問われる。アバウトな私には最も苦手なジャンルである。

では、アンティークショップ“陸軍”が古
い壷を仕入れて売った例で紹介する。
 4月1日に 1個 20,000円で仕入れた。
 6月10日に 同じものを今度は30,000円で仕入れた。 
 6月15日に 1個40,000円で売れた。
いくら利益がでたか
 言い換えると、売れた壷の原価はいくらか?
・技術屋の感覚だと、原価は2個の平均値25000円で利益は15000円となるが、世の中は違う。細かい理屈は省略するが、多くの会社の原価は30,000円である。これは、売れた時に近い数値を適用するのが取引としては正しいと考えるのである。買う人も馬鹿ではないので、20,000円ではなく30,000円のイメージを考えている。  
・ ただし、実際の壷は4月1日に仕入れたものを出すだろう。(これを先入先出法という)実際の物と書類上は別ものである。(書類の処理を後入先出し法という)
仕訳としては
(借方) 売上40,000
(貸方) 壷30,000、利益10,000
これを、最初に勉強したときは理解し難かった。ただ、人間だれでも一円でも高く売りたい、安く買いたいと思うのが心情と思ったときに腹に入った。 
 ゲーテは簿記のことを「人間が作り出した最高傑作」と表現したらしいが、奥が深く興味の沸く学問である。
 次回は、株価と簿記の話です。