会長の”先生と呼ばれる日” その1

私には、一年に3日間「先生」と呼ばれる日がある。それは、「簿記」とよばれる資格試験の検定委員になるときである。日本商工会議所(通称“日商”)が、年に3回試験を全国一斉に開催する。その試験会場の1つである刈谷商工会議所を受け持っている。次は6月13日(日)である。

先生と言ったが、生徒の前で授業をするわけではない。試験会場で監督をした後、密室で答案を採点し合否をつけるのである。ただ、受験生や商工会議所の事務員からは、「先生」と呼ばれる。気恥ずかしい反面、少し嬉しい。そして試験問題を解いている受験生をみると自然と気が引き締まり、「俺も頑張ろう」という気になる。試験には1級〜4級まであるが、特に会計プロの登竜門といわれる1級の雰囲気は、こちらまで緊張する。因みに合格率は10%である。10%というと、10人中9人は不合格となる。イメージとしては、殆どの人が“出来なかった。。。難しかった。。。”という中で、“俺は出来た!、完璧だ!”と思えないと合格できない。

 さて、簿記とは何か?

一言で言えば「金勘定」の勉強だ。昔で言えば「番頭さん」、今の会社なら「経理」、家庭なら「家計簿」の付け方もその1つかもしれない。豊田高専は“工業”いわゆる理系の勉強をするが、“商業”といわれる文系分野の1つに簿記はある。商業高校にいくと授業の多くは簿記である
では、なぜ高専電気卒業生が先生になれたか。。。
検定委員は商工会議所の任命書が必要であるが、試験を委託されている「中部会計専門学院(CAPS) 知立」F校長の推薦があった。微力ながら協力しているというわけだ。勿論簿記の知識はある。サラリーマン人生の中で技術から営業に移動になった時、この金勘定の知識がさっぱり分からずCAPSに通い出した。自分は経理向きの人間とは思わなかったが、熱中していまい1級を取得できたのだ。(苦労したが。。。) それ以来、F校長とは個人的にお付き合いをさせていただいている。年齢も近いこともあるが、技術屋の思考パターンとは違って、世の中(経済活動)を文字通り“金”“利益”というモノサシで見ており、とても勉強になる。
(たぶん、校長は私のような理系??の見方も勉強になっているかも。。

 前置きが長くなったが、工業と正反対に位置する“簿記”の知識について、これからシリーズで紹介したいと思う。ただ、エンジニアは科学者とは違って、常に効率(安く、早く、、、)を考えないと良いものやサービスはできない。この意味では、簿記の知識を学生の内に身につけておくと為になると思う。