(長坂) 登山2015 その10

  写真は岩場を登る妻を撮影したもの。クサリを片手に持ちながら進んでいく。登り切ると少しホッとする場所がある。そして、また新しいクサリ場(又はハシゴ)が待っている。


 以前も紹介したが、このような場所で滑落事故は起きない。神経を集中しているからである。多くは(80%)、難所を過ぎた“ホッ”とする何でもない場所で、ふらっと足を踏み外し、そのまま帰らぬ人となる。(持論だが)疲れは難所通過時間の2乗に比例する。今回の難所は登り50分・下り20分だが、大キレット穂高⇔槍)のように3時間(今回の2倍)も延々と続くと、疲労は4倍になり危険度が増す。大キレットの死亡率1%と言う数字が物語っている。


 〜写真は大キレットの心臓部“飛騨泣き”を通過する相棒(2001年8月)。右側は切れ立った岩場。まだ若くて体力もあり、天気にも恵まれたお蔭で無事通過できたが、もう2度に行きたくない。因みに、この日に滑落事故で1名命を落とした。~


さて、先回の“来なけりゃ良かった”と弱気になった理由は2つある。

① 一般的には“下りが怖い”という人が多いが、私は逆で登りがダメである。不幸にも、いきなり危険な登りを見てしまったので生理的に受け付けなくなった。
② (余計なことだが。。)妻の危なさそうな姿をみるのが心配。

しかし、弱音を吐く訳にも行かず、心の動揺を押し隠して登り始めた。なにしろ
“問題ない。楽勝”

と騙して連れてきたのだから。。


 登りは、妻を先に行かせ“登った”と声がしたら私が行く。下りは私が先に降り後から妻がくる。
“もし妻が滑落しても身体ごと止める”
一見、とても優しい旦那様に見える!?


長かったような短かったような50分が過ぎ、登山者の声が聞こえてきた。本命“宝剣岳”の頂上である。広くはなくゴツゴツとした岩で覆われているが拝殿はある。安全祈願をして記念撮影。なお、写真右側の登山者は我々の頭上にある岩の上に立とうとしている。これが本当のテッペンだが怖くて行けなかった。

                                                                         続く