会長の ”中欧を訪ねて”(海外旅行の勧め) 19

幻のポツダム 後編(ドイツ)


時間は迫っていた。45分前に到着の予定だが、頑張っても15分前が精一杯。残念だが朝食を悠長に食べる時間は無くなった。


⑧ フロントでタクシーを依頼したが、時間が掛かるというので“流し”を拾うことにした。しかし、これが中々捕まらない。やっと止まってくれた運転手に、地図とボディーランゲージで頼んだ。この辺りは“オテノモノ”。アメリカ赴任の百戦錬磨である。なお、ベンツのタクシーに乗ったのは初めて。当然と言えば当然だが、ちょっとした経験だった。

⑨ 到着したのは集合5分前。何とか間に合った。幸いにもツアー参加者の日本人家族が既に待っていた。聞けば、ベルリン在住の親子《母・子》が岡山にいる両親を呼んだらしい。我妻も日本人・日本語と出合ったことで安心したようだ。これでトラブルも解決できた。我ながら立派なものである。
しかし、、、、、 約束の8:45になってもガイドが来ない。ちょっと心配になった。こんなことなら朝食を買ってくればよかった。ただ、場所は間違ってないことは確かだ。やがて遅れること15分。9時にやっと受付となった。今度は帰りの時間が心配になってくる。何しろ、今晩“日本”に帰らないといけない。


⑩ 受付後、ガイドは長々と電話をしている。浮かない顔をしている。そして、私に尋ねた。
(ガイド) 色々確認しましたが、長坂さんの登録がありません。
(私)  えっ? そんなことはありません。ネットでちゃんと、、
(ガイド) 持参頂いた書面(画面コピー)ですが、この画面の後に承認としてOkボタンを押したものが正式申込みとなります。それはありますか?
(私)  ありません。登録となっていたので、これ以上はないです。
(ガイド) ・・・・・
日本からわざわざ来て頂いて大変申しわけないですが、長坂様をお連れすることはできません。
(私) ・・・・・
そんなこと言われたって。。。何とかなりませんか。
(ガイド) 今日の車は8人乗りです。私ではどうすることも。。
(私) そんな。。。
   頭から血が引いていくのが分かった。隣にいた妻は、私が今にも泣きだしそうな顔だったと後で言った。
(ガイド) 明日なら何とかします。
(私) 今日の飛行機で日本に帰らないといけない。
(ガイド) 。。。。

これ以上話してもどうしようもない。怒っても仕方ない。長引かせれば隣の参加者に迷惑がかかる。
(私) 了解しました。諦めます。
(ガイド) 申し訳ありません。では出発させて頂きます。

   
 

この間 約10分。楽しみにしていたサンスーシ宮殿・ツェツィリエンホーフ宮殿は、最後の最後にして幻と消えた。
 “あぁー悲しい”
私は両手で顔をぬぐった。妻は何も言わなかった。
   ・・・・・

〜写真がサンスーシ宮殿 この美しさをみる筈が。。。日本国内ならリベンジもできるが、ドイツは遠い。おまけに若くない。なんで、こうなっちゃったんだろう。考えれば考えるほど、腹が立つやら悲しいやら。今でも残念の一言に尽きる。〜


(私) さぁ、これからどうしよう。まだ朝の9時だ。とりあえず朝食でも食べよう。腹がえった。
(妻) そうだね。

我々は、とりあえず目抜き通りクーダムへ向かった。


続く