会長の “夏だから。。。”

夏山2013 4

さて登山の話に戻るが、広河原(登山口)を出発してからは登りの連続である。大樺沢(おおかんばさわ)ルートを歩くが、しんどさは別にして川伝いのため、暑いにも関わらず快適だった。
(写真は大樺沢で水を飲む妻)

〜大樺沢二俣〜
 ここから北岳へは右俣コースと左俣コースに分かれる。ともに頂上まで3時間30分の本格的な登りとなるが、どちらが良いかは十人十色であった。我々の判断基準は
“楽な方、危険の少ない方”

若い頃なら眺めが良い方を選んだかもしれないが、経験を積んだこと・歳をとったことがそうした。
2時間遅れて大樺沢二俣に到着した。予定では稜線に辿り着く時間だが昼食とした。弁当を忘れたので非常食として買ったパン・ソーセージとデザートのパイナップル。そして、雪渓から零れ落ちる水。これぞ,まさしく
南アルプスの天然水”

登山者の特権であろうか。

 
雪渓を眺めながら1時間ほど進んだが、このあとが大変だった。土砂崩れの起こった岩の間を登っていく。今回のコースは結構崩れた痕跡があり緊張しながら登った。その後は階段の連続である。危険回避のため人口的に作ってあるが、這って登る状態になるのでキツイ。
 “えぇ。。また階段。。”

泣き言が小声で聞こえた。
相棒S君は疲れていた。休憩タイミングが短くなるのが分かった。因みに、ベテラン(年配者)の登り方は、牛が歩くようにスローペースで登っていくが滅多に休まない。一旦休んで腰を下ろすと疲労が増すからだ。陸上で言えばペイラン(ペースランニング)のつもりで、1時間に1度休憩し自分の体力・筋力を理解するのが理想である。
妻は筋力がないのが分かる。そもそも鍛錬せず本番に臨んでいる。山登りもスポーツだから練習(最低ウォーキング)してないと心身ともに疲れていく。
幸い私(リーダー)は元気だった。


〜八本歯(はっぽんば)のコル〜
やっと稜線(尾根)に着いた。これからが楽しい。
1) 山頂や泊まる山小屋が見えると途端に元気になる。
2) 気温も低くなり暑いことはない。
3) 今まで登ってきたルートを振り返ると、自分を褒めてやりたい気分になる。(写真は妻と)

 しかし時間は既に4時を過ぎていた。これから北岳山頂まで1時間、さらに小屋まで80分。これでは山小屋到着が6時を過ぎ夕食が食べられなくなる。しかし、北岳を断念することは縦走を断念することになる。私の中で葛藤があったが、
“また来ればいい”

山頂は断念して山小屋に行くことにした。
(写真は哀愁が漂う私の姿:妻が撮影)

                           続く