会長の”されどアメリカ” その2 交通事故(中編)

(救急車に乗った)
さて、すぐさま年配女性が
「動いてはいけない。私が救急車まであなたを無事に運ぶ」といった。すぐに担架が運ばれてきて、「これに乗ってくれ」という。
 「ちょっと待ってくれ。荷物がレンタカー(車)の中にある。取りにいかせてくれ。」
 「ダメだ。あなたの安全が掛かっている。」
今まで普通の会話をしていたのに、yesと答えたばかりにこの状態だ。びっくりしたというか、アメリカらしいと思った。個人の責任において物事が成り立っている。日本なら、周りのアドバイスがあり、それに従う。
もちろん何も持たず救急車で運ばれたのでは自宅にも帰れないので、頼み込んで許可をもらった。たぶん、この家にも車にも戻ることはないだろう。そんな気がした。
救急車が到着するまでに20分程かかった。悪いのは自分であるが、「ごめんなさい」に毛が生えたことくらいしか言えない。何とも気まずい時間であった。午前0時過ぎだった。
やがて救急車がきた。
最後に、家の男性と近所の皆さんに
「I’m so sorry….」と言って救急車に乗った。皆は苦笑いというか、「日本人が。。。」と呆れた表情であった。「I’m so sorry。。。」もミスマッチなのかもしれない。
担架に乗せられ、寝かされて身動きできなかった。さっきの女性は救急車に乗せるまでの役目らしい。車の中には別の人が座っていた。
田舎なので、救急施設がある病院まで30分くらいかかるようだ。日本とは違ったサイレンがずーっと鳴り響いていた。
日本でも2回救急車に世話になったが、US車は広いが何も置いていない殺伐としたものであった。
悲しかった。
さて病院につくと、「何処が痛いか」と聞かれ足と胸が痛いと答えた。レントゲンを撮ったが幸い異常なし。
医者は言った。
「貴方は問題ない。一人で帰ってくれ」
「ちょっと待ってくれ。もう深夜2時なので連絡ができない。おまけに住まいのデトロイトまで600キロある。」
「それは、我々の問題ではない。君には異常はないのだ。」

アメリカらしい。
しかし、さすがに(医者ではなくて、看護師かな??)も同情してくれたようで、近くのホテルにTELしてくれた。しかし、幸い?ホテルが満室だった。あとは、小雪が舞う外で追い出されるのだろう、、、私に策はなかった。

またしても、アメリカ人が同情してくれた。
「一晩、病院で泊まっていきなさい」
「うれしい」というよりも「ほっとした」
入院用のベッドまで車椅子で看護婦が連れていってくれて、そこで寝かしつけてくれた。
ドット疲れがでて眠りについた。

続く