会長の”されどアメリカ ” その1 銃を向けられた日

今回から「されどアメリカ」と題して、赴任中の怖い経験・悔しい経験を紹介する。だた、アメリカは本当に素晴らしい所と今でも思っているので、最後は「されどアメリカ」で締めたいと思う。

その1 銃を向けられた日 2005年10月
アメリカは銃社会である。スーパーマーケットで銃は売っているし、実弾を撃たせてくれる場所もある。女性の車には身を守るために短銃が隠されているという話も聞く。そんなアメリカで、一度銃(ライフル)を向けられたことがある。
 
 アメリカの紅葉は日本の繊細さとは違い、大きな樹木が黄色に染まる素晴らしい風景である。この風景を写真に撮りたくてミシガン北部に向かった(勿論一人で)。トラバースシティという有名な避暑地に到着すると、紅葉真っ盛りであった。

 アメリカの紅葉は素晴らしい!

そんな感動を抱いて2日目もドライブを続けた。そして、ある民家の赤く染まった樹木と、近くにあった赤い車が目に入り、思わず車を止めて写真を撮り始めた。色々な場所から撮っていると、突然家の中から男性がライフルを持って私のほうに向け、そして怒鳴った。
英語が理解できなかったが、想像するに

「人の家の写真を無断で撮って、何者だ! 手を上げろ!」ではないかと思う。

私は、とっさに次の返答をした。
「Your trees are very beautiful! So I want to take some pictures」
相手は最初ポカーンとしていたが、私が撮っていた木を見ると笑顔に戻り

「そうか。好きなだけ撮っていいぞ!」

というような英語を返したと思う。
これで急場をしのいだ。特に緊張したわけでもなく、考えた訳でもない。自然と出た一言であった。
 向けられた銃はいわゆるライフルである。もちろん悪いのは私の方で相手は正当防衛となる。何しろ私が無断で撮影したし、まして日本人(外国人)である。この時撃たれていたら、今頃このような原稿は書いていないだろう.
因みに左が撮影した紅葉&車の写真である。正直、命を賭けてまで撮る値打ちは無いと後で思ったが、あの時は感激した。素晴らしいと思った。それは事実である。
 この話しを会社の米人にすると、それは無謀だ。北部は気の荒い住民が多い。これからはプライベートな部分へは侵入しない方が良いと教えてくれた。全く、怖いもの知らずのノー天気人間である。

 ライフルを向けらたが、素晴らしい景色が沢山ある!

「されどアメリカ」