会長の”質問魔”と呼ばれて(その4前半  力学)

力学は本当に良く勉強した。理由の一つとして教科書が好きだった。文章・書き方が気に入ったのかも知れない。そもそも教科書との出会いは、高専の後輩である大見君(A12)が、「これが良く分かる」と教えてくれた。物理学の匂いがした。以来とりこになってしまった。大学の教科書は、教授が自分の講義をもとに出版しているものが多い。力学も沢山の本があり、書いてあることは同じであるが、分かるか否か(売れるか否か)は書き方の違いしかない。
さて、工学部にも力学の授業はあったが、勢い余って理学部物理学科の授業を受けたいと大学教務課に申し込んだ。こんなことは過去に例はないらしく、対応してくれた事務員から理由を聞かれた。
 「工学部の力学よりも中身が濃いと思う。」と言った。
学生だったから許されたものの、会社だったら問題になるかも知れない。やがて教務課間で了解が得られ、晴れて受講でき単位の取得も可能となった。かくして、「力学」及び「力学演習」二教科の聴講が始まった。当時の工学部は校門を入るとすぐにあり、とても騒がしい雰囲気だったが、理学部は大学で最も奥に位置し、静かでアカデミックな雰囲気だった。こんな所で勉強してみたかった。

(30年前に使った教科書は既に紛失した。このシリーズを書き始めたのを気に同じものを買ってしまった。自筆の説明書きは無いが思い出が甦ってきた。
ああ若かった。戻れるものなら、もう一度大学生になって朝から晩まで勉強していたい。 いや本当に!)
              後半に続く。