会長の"質問魔”と呼ばれて(その2 線形代数学)

線形代数微分積分を主体とした解析数学と対比される分野だった。その中にある行列論は、コンピュータの発達とともに脚光を浴びてきて一味違う領域だ。私には正直難解だったが、このジャンルは何としても理解したかった。教えてもらったI先生が好きで質問を続けた。行列というと行列式連立方程式の解法を思い浮かべるが、最終的には「固有値」「固有ベクトル」といったシステムの中身を扱う。ただ私には「1次変換」の章が最も難関であった(最終章の1つ前)。抽象的な定理と証明を読んでもイメージが浮かばなかった。教えてくれたのはI先生という東京大学大学院を出たばかりの新任の方で、徹底的に質問したが、いつも即答してくれた。世の中には頭の良い人がいると関心した。先生のお陰で、最後は“悟り”の領域に達した。気さくな人で「数学の先生になったが、本当は英語の方が好きなんだ」とよく言っていた。完全読破を祝って東京の赤坂で飲んだのを覚えている。
なぜ、飲みに千葉市から1時間もかけて赤坂かと言えば、当時の私は千葉の料亭で飲む酒よりも、赤坂の安酒の方がカッコイイと思っていたからだ。愛知に帰った時に
「ちょっと赤坂で飲んじゃってさあ。。」と自慢したいがための単なる「オノボリサン」だった。そこで、多くの時間を私のために使ってくれた御礼として、私のささやかなオゴリで飲んだ。(生徒が先生におごるというのも変な話だが。。)
この原稿を書くにあたってネットで調べたが、今でも大学で教鞭をとられている。30年ぶりに会ってみようかな?

大学で使った教科書   分からない箇所の隣に書ききれず、表紙の裏側にも理解できた内容を書いていた。(私には難しかった)