会長の”されどアメリカ” その5 海に落ちそうになった日

アメリカには素晴らしい景色が沢山ある。それを写真に収めようと夢中になり、危うく海に落ちそうになったことがある。

この写真は、既述の「明日に架ける橋」最終回に紹介したゴールデンゲートブリッジ(GGブリッジ)の夜景である。今まで幾度となく訪れたが、昼間なので安全柵を気にもしなかった。ついつい日本の安全感覚で、柵を超えて三脚を固定し撮影した。柵を一歩踏み出すと素晴らしいアングルになった。
「スゲー。。。美しい!」
さらに一歩前進したところ、さらに美しくなった。さえぎるものが無くなるのである。もう夢中である。有頂天だ。
「さすがに夜景は素晴らしい」
そして、さらに一歩踏み出そうとした瞬間、眼下にサンフランシスコ湾が見えた。
「いかん。」
怖くなって座りながら引返した。断崖絶壁の端まで30センチもなかった。
サンフランシスコ湾の水は冷たく流れが速い。落ちたら浮かび上がってくることはなく、完全にあの世行きである。まして異国人は「行方不明」で片づけられて終わりである。因みにGGブリッジは自殺の名所にもなっているのだ。
しかし、よく踏みとどまったものだと思う。神様・ご先祖様のお陰かもしれない。
なお左の写真がその安全柵である。

アメリカの安全柵を越えてはいけない。

日本の安全柵(これより先に行かないように!)は、かなり余裕を持った位置に設置してある。もし柵が倒れてしまっても安全といった感じである。しかし、アメリカは違う。本当に危ないのだ。右写真は、グランドキャニオンにある安全柵である。中央には座っている人もいる。怖くて足がすくんでしまうのだ。安全柵の向こうは絶壁である。私なんか、怖くてこの場所にいけなかった。もちろん「柵を超えないように」なんて書いていない。不要である。
もし事故にあったときは自己責任なのだ。(自分が悪いのである)


本シリーズでは危ない話を紹介しているが、私の中では最も危険な経験であった。
あぁ、生きていて良かった。

されどアメリ