会長の”質問魔”と呼ばれて(名工大 夜学)

今回から、社会人になってから学んだ内容です。まずは名工大から。

電気工学科を卒業して選んだ就職先は、地元の自動車部品メーカーだった。電気関係の設計部署や先端研究に憧れていたが、配属先は最も忙しいと言われている生産技術部だった。これには本当にショックだった。いっそのこと、会社を辞めて大学院にでも入りなおそうかと思ったこともある。そんな悶々とした日々が半年ほど続いたが、徐々に仕事に慣れてくると、当然のことながら面白くなってくる。機械工学出身の諸先輩が当たり前のように話す会話に自分も参加したくて、勉強していない機械工学に興味を覚えた。その1つが、基本となる「金属材料」である。
鉄を焼き入れするとどうなるかと言った材料の性質に関する学問である。これを勉強するために私が選んだのは、名工大の夜間部に通うことだった。調べると、水曜日の19:30〜21:00 に講義があることが分かった。どうせ学生は勉強しないし、国立大学だから大目に見てくれるだろうと考え(授業料を払わない)、名工大の夜間学生に成りすまして授業を聞いた。昔はこのような学生のことを「てんぷら学生」と呼んでいた。授業そして仕事上での不明点については、これまた「何食わぬ顔」をして先生の研修室まで出向き質問させてもらった。6ヶ月間の授業を受ける中で、正体がばれそうになったことが2度あった。一度は、大学内の駐車場で検問を受けたときである。
「卒業生として、教授に会いに来ました。」
と言ったら許可された。もう一回は、授業で突然ミニテストが実施され、学生番号を書かねばならなかったときだ。この時は、
さすがにやばいと思って、何食わぬ顔で教室を出て行った。(逃げた)。
周りの学生(3年生)からは、「あの人、何か変だな」と見られたが、最後まで知らん顔をして半年の間授業を受け続けた。理解できたと言いたいところだが、正直のところ仕事を通して学ぶことの方が、この科目に関しては有意義だった。
授業料も払わないので単位をもらえる訳でもなく、授業が終わった段階で止めとした。
今から思えば笑える話だし、今では管理が厳しくてとてもできないだろう。その意味では、自由でのん気な時代だったかもしれない。             続く